たとえこの世界から君が消えても
パソコンを操作する小柄な少女を、まじまじと見つめる。


少しおどおどしているが、やっぱり母さんと纏う雰囲気が瓜二つだ。


それに名前まで一緒だなんて…。


高校時代の母さんを目の前で見ている気分だ。



「一年、中村蓮…」



少女が不思議そうに俺の名前を呟いた。



「あの…?」


「え、あ、ごめん。一年生だったんだ。てっきり同じ二年生か先輩だと思ってた」


「ああ、二年生なんですか」


「あ、なにその意外ー、みたいな反応!」


「ははっ、すみません」



頬を膨らませ怒った顔をする少女に、思わず吹き出す。



…こんなことがあるだろうか。


この子はやっぱり…。
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