たとえこの世界から君が消えても
「…ねえ、もしかしてさ私たちどっかで会ったことある…?


「え?…なんでですか?」


「なんかうまく言えないんだけど、不思議な感じがして。蓮くんの名前もどこかで聞いたことがあるような気がするんだよね…」


「…ああ、俺兄がいるんですけど、中村奏多っていう。顔とか似てるんで、そのせいじゃないですか?」


「中村奏多…ああ!中村くん!?え、中村くんの弟さんなんだ!」



咄嗟に父さんの、中村奏多の弟だと嘘をつくと、少女はパッと目を輝かせた。


…これで確信した。


この少女は、母さんに似ているんじゃない。


この少女こそが母さんなんだ。



でも、どうして高二の母さんが二十年の時を経てここにいるんだ…?


タイムリープというやつか?


どうやってこの時代に来た?


そもそも母さんは自分が未来に来たと気づいていないのか?
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