たとえこの世界から君が消えても
「…ああ、俺兄がいるんですけど、中村奏多(かなた)っていう。顔とか似てるんで、そのせいじゃないですか?」


「中村奏多…ああ!中村くん!?え、中村くんの弟さんなんだ!」



中村くんとは加奈繋がりで少し話したことがある程度だ。


クラスは一緒だが、中村くんは男女問わずの人気者で、私とは明らかに住む世界の違う人だから関わることなんて滅多にない。



言われてみれば、たしかに蓮くんと中村くんの雰囲気はそっくりだ。


クラスメイトと似ているから変な感じがしたのかもしれない。



「あれ、そういえば図書委員の子遅いなあ…。忘れてるのかな?」



昼休みに入ってもう十分が経過しているが、一向に私たち以外の生徒が現れることはない。



「サボりじゃないですか?昼休みはダラダラしたくなるもんじゃないですか。教室から出たくない、みたいな」


「そうなのかなあ。私は図書室、落ち着くし結構好きだけどなあー。わざわざ図書室に来た蓮くんも、図書室が好きってこと?あれ、でも今まで一回も会ったことない…よね?」


「図書室来たの今日が初めてだからですよ。もともと本読むのとか苦手だし」
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