たとえこの世界から君が消えても
「あいや、なんかすごく悲しそうな顔してたから…」


「全然そんなことないですよ。ただ…俺、本当は大事で大好きだって思ってるくせに、ちゃんと伝えることしてこなかったし、照れ隠しで嫌いとかひどいことまで言ったことあって…。最低ですよね」



悲しそうに力なく笑う蓮くんからは、本当に後悔してることが伝わってきて胸が痛くなる。



「そんなことないよ。誰だって、本当の気持ちを言うのは難しいよ。私だっていつも人に流されてるし人のこと言えないんだけどさ、ちょっとずつでいいからこれから言ってあげたらいいんじゃないかな。きっとお母さんも本当の気持ちを伝えてくれた方が嬉しいと思うよ」


「…はい。今日帰ったら、言おうと思います」



蓮くんの笑顔が元に戻り、安心する。



「あ、蓮くんと話してたらもうこんな時間。教室戻んなきゃ。蓮くんも教室戻る?」


「あー俺、もう少しここにいます」


「そっか。じゃあまたね」



蓮くんに手を振り、図書室を後にした。
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