演歌歌手安芸野もみじ ライバー(配信)始めます
「それじゃあ、今日はこれで帰るね。またわかんないことあったらいつでも言って」

「今日は本当にありがとう。また何かお礼するね」

「それより配信する日決まったら教えてね。見るから」

「あ、えーとそれは恥ずかしいから、慣れてきたら教える」

 岡崎くんに演歌を歌っていることを知られたくない。演歌を愛してるけど、やっぱり偏見を持たれたら悲しいもん。

玄関で岡崎くんを見送った後、その場にしゃがみ込む。

ダメだ。プライベートで男性と触れ合ったのが久しぶりすぎて、意識しすぎてしまった。演歌歌手になって5年、彼氏もいなければ恋すらせずに過ごしてきたのに。

まだドキドキとする胸の鼓動はなかなか治まらなかった。


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岡崎くんはバイトで会うごとに私のことを心配してくれた。

「三島さん、その後、生配信の準備できた?まだ生配信してないよね?」

「うん。なかなか踏ん切りが、つかなくて」

「じゃあさ、練習で俺だけ見れるようにして生配信してみる?」

「うん。練習したい」

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「えーっと、岡崎くん見れてますか?」

岡崎:うん見れてるよ。ライトの位置変えたほうがいいかも

「こんな感じでどうかな?」

岡崎:いい感じいい感じ

こうして配信練習を経て、いよいよ本番の日がやってきた。
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