演歌歌手安芸野もみじ ライバー(配信)始めます
「三島さん!大丈夫です。すぐ行きますから」
岡崎くんは15分で駆けつけてくれて、私の着物姿にちょっとびっくりした様子だったけど、すぐにセッティングを直してくれた。
というか、ただUSBの差し込みが緩んでいただけのようだった。
「あのね、岡崎くん、私」
言わなきゃ、演歌歌手だってことも、今日生配信することを内緒にしてたことも謝らなきゃ。
「大丈夫。何にも心配しないで、ばっちり生配信できるから。ここで見てるから。さあ、時間だよ」
私はうなずいて、『配信開始』のボタンをクリックした。
「みなさんこんばんは。安芸野もみじです。演歌歌手をしております。楽しんでいってください」
生配信は滞りなく進み、少しづつではあるが視聴数も増え何百円単位ではあるが応援エフェクトももらえた。
「それでは、安芸野もみじでした。また次回ぜひ視聴してくださいね。ありがとうございました」
パチパチパチとカメラの向こうで岡崎くんが拍手をしてくれている。
「すごい。三島さん、すごい。めちゃくちゃかっこいいんだけど」
「え?」
「歌うますぎだし、着物とか、演歌とか、ギャップありすぎて、もう反則っていうか、ハグしていい?」
「安芸野もみじのファンになってくれました?」
「いや、えっと。俺は、三島亜希子っていう一人の女の子をもっと身近で支えたいっていうか……、三島さんのこと好きになっちゃったんだよ」
「演歌歌っててもいいの?」
「もちろん」
「私も岡崎くんのことばっかり考えてた」
私はゆっくりと彼の背中に手を回した。
ピコン
ピコンピコンピコン
パソコンからコメント通知の音がする。
「ねぇ、三島さん。配信終了押した?」
「……押してなかったかも」
おわり
岡崎くんは15分で駆けつけてくれて、私の着物姿にちょっとびっくりした様子だったけど、すぐにセッティングを直してくれた。
というか、ただUSBの差し込みが緩んでいただけのようだった。
「あのね、岡崎くん、私」
言わなきゃ、演歌歌手だってことも、今日生配信することを内緒にしてたことも謝らなきゃ。
「大丈夫。何にも心配しないで、ばっちり生配信できるから。ここで見てるから。さあ、時間だよ」
私はうなずいて、『配信開始』のボタンをクリックした。
「みなさんこんばんは。安芸野もみじです。演歌歌手をしております。楽しんでいってください」
生配信は滞りなく進み、少しづつではあるが視聴数も増え何百円単位ではあるが応援エフェクトももらえた。
「それでは、安芸野もみじでした。また次回ぜひ視聴してくださいね。ありがとうございました」
パチパチパチとカメラの向こうで岡崎くんが拍手をしてくれている。
「すごい。三島さん、すごい。めちゃくちゃかっこいいんだけど」
「え?」
「歌うますぎだし、着物とか、演歌とか、ギャップありすぎて、もう反則っていうか、ハグしていい?」
「安芸野もみじのファンになってくれました?」
「いや、えっと。俺は、三島亜希子っていう一人の女の子をもっと身近で支えたいっていうか……、三島さんのこと好きになっちゃったんだよ」
「演歌歌っててもいいの?」
「もちろん」
「私も岡崎くんのことばっかり考えてた」
私はゆっくりと彼の背中に手を回した。
ピコン
ピコンピコンピコン
パソコンからコメント通知の音がする。
「ねぇ、三島さん。配信終了押した?」
「……押してなかったかも」
おわり