雨の降る夜は
「甲斐さん、昨日までの売上日報ですが」

マネージャーの(すみ)がノートパソコンの画面を開いて、ローテーブルの上に置いた。

ゆっくり紫煙を逃してから、クリスタルガラスの灰皿に吸い殻を放り、数字を目で追う。

「もっと利益を出せ。客足が伸びても意味がない」

「了解しました」

CLOAKのバックヤード。支配人室のソファで脚を組み、俺は端的に言ったが角は若いなりに優秀だ。必ず結果は出すだろう。

「それより本家襲撃の件だ。(じん)の顔に泥を塗るわけにはいかねぇぞ。・・・木崎組の面子にかけて黒幕(ウラ)をあぶり出せ」
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