経理部の女王様が落ちた先には
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会議室の中は、何の音もしない。



私は、ただ静かに、待っている・・・。



目の前の、結城部長を・・・。



結城部長を、ただ、見詰め、待っている・・・。



結城部長は、また、笑った。



虫1匹も殺せないような顔で、笑顔を貼り付けたように。



「ダメ、ですか?」



私は、深くお辞儀をする。




「申し訳ございません。」





顔を上げようとした瞬間・・・






「・・・っっ!?」






結城部長に腕を強引に引かれ、胸の中に勢いよくぶつかり・・・





「・・・っヤッ・・・!!」





私の唇を塞がれる・・・




その口の中に、結城部長の熱を突き刺してくる・・・




私は、必死に結城部長の胸を押す・・・




ビクともしない、それどころか、私を抱き締める腕にもっと力を込める・・・。





私が抵抗する中、何度も、何度も、結城部長の熱が私の口の中を突き刺した。





長い長い時間の後・・・





結城部長が、やっと唇を離す・・・。






息を整えながら、私は結城部長を見上げる。







「“私”は、“貴方”が好きではありません。」







虫1匹も殺せないような顔の結城部長に、そう告げる・・・。






待っていた・・・。
ずっと、ずっと、あの喫茶店で・・・。



2ヶ月が経つ頃には、もう分かっていた。
あの“約束”は、“わたしに何か”があった時のことだと・・・。



それでも、私は待つことを止められなかった・・・。



もしかしたら、もしかしたら、迎えに来てくれるかもしれない・・・



騎士のあの人が、迎えに来て・・・



喫茶店の外に連れ出してくれるかもしれない・・・



そんな、お姫様のようなことを・・・



“女王様”の私が、夢見ていた・・・。





麻美side....
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