経理部の女王様が落ちた先には
社会人5年目 27歳 11月
「俺、やりたくないから。」
「そう言っても、俺がやらせるのは分かってるだろ?もう観念しろよ。」
この大企業の社長の息子、副社長の勉(つとむ)が17時半頃に俺を呼び出し、副社長室にあるソファー席の向かいから言ってくる。
「なんでも、アンタの言うとおりになると思うなよ?」
「思ってるよ。今のところ、全てそうなってる。」
「怖~。奥さん、気の毒・・・。」
純粋で可愛らしい、この従兄弟様の奥さんを思い浮かべながら言った。
「奥さんのことは、それはそれは大切にしてるぞ?」
「アンタが言うと、ただ怖いだけだな。」
「いや、本当に。
こんなに優しい自分が存在したことに毎日驚いてるよ。」
「どうだか。アンタと俺、似てるから。
その言葉は全く信じられないな。」
そんな、小さな頃からの会話を、今日もダラダラとしていく。
「気の毒なのは、直人だよ。
本気で好きになれる子に出会えてないとか。」
「そんなのは、一時の錯覚だろ?
俺、そういうの信じないから。」
「俺もそうだったが・・・。
まあ、直人にもいつか分かるよ。」
話が脱線していった時、この部屋の内線が鳴った。
さっきまで気配を消していたこの人の優秀な秘書は、内線を取った後に扉に向かった。
それを、何となく、見ていた。
「俺、やりたくないから。」
「そう言っても、俺がやらせるのは分かってるだろ?もう観念しろよ。」
この大企業の社長の息子、副社長の勉(つとむ)が17時半頃に俺を呼び出し、副社長室にあるソファー席の向かいから言ってくる。
「なんでも、アンタの言うとおりになると思うなよ?」
「思ってるよ。今のところ、全てそうなってる。」
「怖~。奥さん、気の毒・・・。」
純粋で可愛らしい、この従兄弟様の奥さんを思い浮かべながら言った。
「奥さんのことは、それはそれは大切にしてるぞ?」
「アンタが言うと、ただ怖いだけだな。」
「いや、本当に。
こんなに優しい自分が存在したことに毎日驚いてるよ。」
「どうだか。アンタと俺、似てるから。
その言葉は全く信じられないな。」
そんな、小さな頃からの会話を、今日もダラダラとしていく。
「気の毒なのは、直人だよ。
本気で好きになれる子に出会えてないとか。」
「そんなのは、一時の錯覚だろ?
俺、そういうの信じないから。」
「俺もそうだったが・・・。
まあ、直人にもいつか分かるよ。」
話が脱線していった時、この部屋の内線が鳴った。
さっきまで気配を消していたこの人の優秀な秘書は、内線を取った後に扉に向かった。
それを、何となく、見ていた。