経理部の女王様が落ちた先には
秘書とその女をまだ何気なく見ていると、女が渡した封筒を秘書が受け取っていた。
その動作だけなのに、綺麗な、隙のない動き方をする女だなと思った。



顔は遠くて何となくしか見えないけど、よく整った、見た人を怯ませるくらい、意志の強そうな良い顔をしている。



そんな俺の視線を追うように、従兄弟様も女がいる扉の方に視線を移す。




その時、その女が・・・




深く、お辞儀をした。





その動きを、姿を、部屋に張り詰める雰囲気を、直感的に掴み取る。
これは・・・普通じゃない・・・。
と、声を掛けようとした瞬間・・・





「そちらの方は？」




向かいに座っていた従兄弟様が声を上げ、すぐに立ち上がった。
一足先にそれをやられ、俺は見ていることしか出来ず・・・。




秘書が会社名を伝えると、従兄弟様が「ああ、昔からの所ですね。」と言って、その女にどんどん近づいていく。




そんな従兄弟様を、女は、完全に見惚れているような雰囲気で・・・
そんな様子を見て、俺は少し腹立たしい気持ちになる。
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