経理部の女王様が落ちた先には
パンダの付箋を使い、あの子を呼び出した。
久しぶりに見た“女王様”のこの子は、最後に会った時よりその花の香りが強くなっている。
これでは、確かに誰もが必死に近付いてしまう・・・。



「すみません、すぐに終わりますので。」



この子を会議室Ⅳに先に通し、すぐに扉の鍵を閉めた。



誰かに切り取られてしまうのは時間の問題だと、俺の直感が騒ぎ出す。



「花崎さん・・・。
僕と、お付き合いしてもらえませんか?」



“僕”のままで、“俺”が言えなかったことを伝える。
もう、手遅れになると思ったから・・・
その前に、どうしてもこの想いだけは伝えたかった・・・




「ダメ、ですか?」




“女王様”のこの子は、深くお辞儀をする。





「申し訳ございません。」





そう言われた瞬間、“俺”が“封印”をぶち破り、この子の腕を強引に引き、胸の中に勢いよく閉じ込めた・・・





「・・・っヤッ・・・!!」





無理矢理唇を塞ぐ・・・






この子の花びらのように甘い舌を激しく求める・・・





胸を押すこの子を、もっと強く抱き締める・・・





長い長い時間の後、最後のギリギリまでそれを感じながら、唇を離す・・・。






息を整えながら、“女王様”のこの子は俺を見上げる。







「“私”は、“貴方”が好きではありません。」





そう言って、“女王様”のこの子は会議室を出ていった。
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