経理部の女王様が落ちた先には
「あの~・・・花崎さん。」



近くにいた顔見知りの女の人が、わたしに恐る恐る声を掛けてきた。



「私の洋服でよければ、お貸ししましょうか?
彼氏といきなりデートになった時用のなんですけど、ロッカーに1着ありまして・・・」



ビショビショになったジャケットのポケットからピンクのボールペンだけ抜き取り、その女の人に笑いかける。



「そんな大切なお洋服、お借りしていいですか?」
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