経理部の女王様が落ちた先には
少しだけ、ほんの少しだけ、あの人に似ている人・・・。
毎日何度も声を掛けてくれて、気に掛けてくれる・・・。
少しだけ、あの人に似ているなと、いつも思っていた・・・。



「ヒール折れたのか・・・。
大丈夫?足くじいてない?」



そう言って、本当に心配そうな顔でわたしを見てくれる・・・。
この人を見ると、いつも嫌でも思い出してしまう・・・。



どうして、あの人は来てくれなかったんだろう・・・。



どうして、あの人は・・・



あの、騎士のようなあの人は、どうして・・・



どうして、迎えに来てくれなかったんだろう・・・。




涙が溜まってくるのが自分でも分かる。




「花崎さん・・・やっぱり君は・・・」




企画部の部長が、いつも向ける嫌らしい笑顔でわたしを見た・・・。




そして、わたしのピンヒールに・・・




ゆっくりと・・・




手を伸ばす・・・





「花崎さん!!!!」
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