経理部の女王様が落ちた先には
3
8月 夏休み2日前



集めた資料の1つずつに、付箋を付けていく。
そこに赤字で「本日中」と書き、今日の日付も付け足す。



「他の部署、行ってきます。」




経理部の人達にそう告げ、私はゆっくりと立ち上がる。




フロアの床に、少しだけピンヒールの音が響く。




規則正しいその音が、わたしを冷静にする。




「これ、間違えてるわよ?
本日中に必ず提出して?」




足を気持ち広く開き、左手を腰に当て、右手で資料を突き返した。
そして、付箋を人差し指でトントンッと指す。



「はいっ!!・・・あ、付箋ついてる!」



と、力の入った返事の後、歓びの声をあげる。
それに、私も笑いながら見下ろす。



「必ずね?」



そう言って、踵を返した。
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