経理部の女王様が落ちた先には
「花崎さん、お疲れ様です!」



隣に並ぶ女性達が声を掛けてきた。



「お疲れ様。」



リップを塗り終え、鏡越しで挨拶をする。



「花崎さん、結城部長とか正直どうですか?
もうちょっとMっ気強い人の方がタイプですか?」



最近、経理部だけでなく他の社員とも少しずつ雑談をしているからか、今日はこんなことを聞かれる。



「全然タイプじゃないわね。」



「やっぱり~!!!
そういう花崎さんが素敵なんだけどね~!!!」



「あ!じゃあ健吾(けんご)君は?
第2営業部の新卒の子!
人懐っこくて可愛いですよ?」



「・・・聞いたことないわね。
経理部に提出された書類でも、ミスしたことないんじゃない?」



「・・・そういえば、営業事務の子が、新卒なのに凄い仕事出来るって言ってたかも。
アポがギッシリで、飲み会とか全然参加してないみたいだけど。」



「でも、たまに社内いるとすぐ分かりますよ?
凄い大きいし、声も存在感も凄いし!
あと、結城部長とよく一緒にいるの見掛けました!」



そう言われ、フロアを歩く結城部長の横に、大きい男性が確かにいたかもと思い出す。
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