経理部の女王様が落ちた先には
女子トイレから経理部の部屋に戻る。


フロアの床に、少しだけピンヒールの音が響く。


規則正しいその音が、わたしを冷静にしていく。


それでも、私の満たされない何かが、煩いくらいに騒ぎだす。


もう二度と、私が満たされることはないのだと、その何かを説得する。


ピンヒールの音を、聞かせながら・・・。



その時、鞄に入っていたスマホが震えた。



ゆっくりと取り出し見てみると、知らない番号から。




一瞬、心臓が煩く鳴り響いた・・・



震え続けるスマホのボタンを押し、ゆっくりと・・・



耳に当てる・・・。




「はい・・・」




『もしもし・・・』





心臓が、止まるかと思った・・・。





止まりそうになった心臓は、バクバクと煩く鳴り響き、私の身体はそれに共鳴するかのように身震いしてくる・・・。




『花崎さん、結城です。』




その言葉に、私の心臓が悲しみの音を鳴らした・・・。
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