経理部の女王様が落ちた先には
社会人1年目



「花崎さん、これもうチェックしないから。
自分でよく確認して?」



業界でも中規模の会社。
経理部という部署名だけど、実際は総務と経理を一緒にやっている部署。
男性部長と、女の先輩4人、それに新卒のわたしの6人。



新卒で入社をして2ヶ月。
2回目の社員への給与振込で、チェックをしないと言われ突き返された資料を、呆然と見下ろす。



部長を見ると、バッと顔を反らし、わたしを拒絶した。



私は震える手で、デスクに戻る。



そして、また資料とデータを、確認していく。



数字は、昔から好きだった。



必ず答えがある。




数字をダンスさせるように、



この目に通し、



組み立てる。




数字1つずつに、可愛い色のドレスを着せていく。




そんな感覚が、たまらなく好きだった。





でも・・・




震える手で、資料とデータを見るこの目には、もう、数字がドレスを着て踊ることは、なかった。
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