経理部の女王様が落ちた先には
その人がまたわたしの右隣にいる。
心臓が、煩い。
わたしの心が、歓びの声を上げているのが、分かる・・・。



「久しぶりだね。」



「はい・・・。」



「今日は随分遅いね。」



「はい・・・。」



会えた嬉しさと、どうしていいのか分からない戸惑いに、わたしはそんなつまらない返事しか出来ない。



今年で24歳になるわたし・・・
わたしには恋愛経験が、ない。



“女王様”のような見た目のわたしに興味を持った男の人もいたけど、わたしの中身が違うと分かるとすぐに去っていった。



でも、こんなことなら、何処かでちゃんと済ませておけばよかったと、心から思った・・・。




「なんで?」




そう、聞かれ、わたしは固まった。
心の声を、聞かれたのかと思ったから。




「なんで、こんなに遅いの?」




優しい声でそう聞かれ、力が一気に抜けた。
それくらい、身体が強張っていたのに気付く。





わたしはこの人を、見る。





「経理の仕事、1人でしてるんです。」





そして、笑った。





「ぜ~んぶ!」
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