経理部の女王様が落ちた先には
「今日は、終わりにしよう。」



いつもの喫茶店、今日は来てくれた右隣の人からそう言われた。



「何か、甘いものでも買ってこよう。」



そう言って席を立ち、戻ってきたその手には、チョコレートのケーキが。



「どうぞ。」



「ありがとうございます。」



「なにか、あった?」



ケーキをわたしの目の前に置いてくれた後、この人が優しい声で聞いてくれた。



甘いケーキを一口食べると、口の中が、身体が、心の中が、少しだけ満たされたように感じた・・・。



「わたし・・・友達いないんです。」




そう言って笑いながら、右隣に座るこの人を見上げた。




そんなわたしを、この人は鋭い騎士の目で見下ろし・・・




また、深くて優しい目で、笑った。





「俺も、いない。」
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