経理部の女王様が落ちた先には
驚くわたしに、この人は楽しそうに声を上げながら笑った。



「俺・・・顔と、ちょっと違うだろ?」



「なにがですか?」



「その・・・性格・・・?」



「そうですか?」




何が言いたいのか分からず、わたしは真剣にこの人を見る。
そんなわたしを、またこの人は見下ろし・・・。




出会ってから初めて見るくらい大きな声で、笑った。




それから、今日は閉店になるまで、初めてこの人と色々な話をした。
この人の名前や連絡先、仕事のことなんかは聞けないままだったけど・・・。




それでも、とても楽しくて、素敵な時間だった。





わたしの心の中が、何かで満たされた・・・





そんな、不思議な感覚になった。
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