俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「あなたどこの所属?あまり見ない顔ね」

「……」答える必要があるのだろうか。

 黙っていると、声を掛けてきた本題に触れる。

「あなた今朝、暁様のマンションから出てこなかった?」

 どこで見ていたのだろうか?ストーカーに遭ったばかりなので、恐怖で口を噤む。

「黙ってるってことは図星?どういう関係?」

 あまりの剣幕に戸惑う。素直に答えるべきではないと、本能が告げている。

「えっと……。暁様とはどなたですか?親戚の家によく泊まりに行くんですが……」

「はあ?暁様を知らない?なんだ紛らわしい。じゃあいいわ」

 言いたい事だけ言って去っていく。暁へのかなりの執着を感じ怖くなる。それにしても、なぜ芹があのマンションから出てきた事を知っているのだろう。

 暁にも報告すべきか悩む。たまたまなのか、待ち伏せなのかがわからない。何せ、暁のマンションから出勤するのは、今日が初めてなのだから。花澤からは、暁への執着を感じたのは事実だ。暁があのマンションに住んでいることは有名なのだろうか?
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