俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 いつも通り車内でスケジュール確認を済ませ、地下駐車場から社長室に入るが、やはり気になる。

 始業時間を迎えた頃には、我慢の限界がやってきた。

「シンジョーテックに行ってくる」

「はあ!?」

 駿が驚きの声を上げた時には、既に扉に向かっているではないか。

「ちょっ、ちょっと待て」

「待てない」

「いやいやいや」

「なにか文句でも?」

「普段、シンジョーテックに直接出向くことのない暁が現れたらおかしいだろう?」

「おかしいとかおかしくないとか関係ない。芹の顔を見ないと安心できない」

「成宮さんに迷惑が掛かるぞ」

「別に直接声を掛けるわけじゃない。社長に会いに行くだけだ」

「いつも呼びつけてる暁が会いに行くだと?それがおかしいんだ」

 社長室に入り秘書モードになっていた駿も呆れて素が出るほどの驚きだ。

「じゃあ、我慢して芹になにかあったら、俺は一生後悔するが、駿は責任取れるんだな?」

「…」

 半ば脅しが入っている。
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