俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 最上階に戻り暁が待っているであろう社長室に向かう。

 今まで暁と行動を共にし、色々な経験をしてきたが、こんなにワクワクする事は初めてだ。

 何事にも完璧な幼馴染は、普段から感情をコントロールしていて、駿以外には全く伝わらない。しかも、愛情に関しては存在すらしていないかのような男だ。

 そんな暁が一瞬見せた表情が駿にはなりより興味深い。

 『コンコン』

「はい」

「稗田です」

「入れ」

「失礼します」

「で?」

「いきなり本題ですか?そう焦らなくても」

 珍しい暁の姿にからかいたくなる。すでに暁の顔には苛立ちが……。

「駿」

「怒るなって。彼女は、シンジョーテックの成宮芹さんだ。受付ですぐにわかるくらい有名のようだ」

「シンジョーテック……。そうか、じゃあ」

「わかりました。社長の名取さんを呼びますね」 

「ああ」

 暁の言わんとすることは、言われなくても理解している。

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