俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 そんなやり取りがあり、暁一人で行かせるわけにも行かず、シンジョーテックに朝から赴いたのだ。

 シンジョーテックの社長室の手前には、社長秘書用のデスクがあり、受付を兼ねた空間になっている。フロアとはパーテーションで区切られただけなので、フロアからのざわつきは、秘書の木村まで聞こえていた。

 月曜の朝の始業時間すぐに、何が起きてるのかと訝しく思った瞬間、原因がわかった。

 パーテーションを軽くコンコンと叩いた後、いきなり姿を現したのは、新城堂の社長の暁だ。同じビル内とはいえ名取が出向くことはあっても、こちらに来ることはない。

 木村は名取について新城堂に出向くことがあるので、二人とはもちろん面識はある。

「し、新城社長おはようございます」慌てて立ち上がり挨拶した。

「おはようございます。朝からアポ無しですみません」

 返事を返し謝罪するのは、暁ではなく駿だ。

「名取さんは?」暁は挨拶もなく切り出す。

「えっ、はあ。出社しております」

「わかった」

 訳の分かっていない木村を置き去りに、奥に進んでいく。
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