俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「芹行こう」

 暁が名前を呼んだ瞬間だった。

「やっぱりコイツだったのね!」

 花澤が絶叫と共に、芹に向かって走り出し拳を振り上げた。

「きゃっ」

 思わず悲鳴を上げる芹と芹を抱きしめ庇う暁。

 そして咄嗟に駿が花澤の手を捻り上げ拘束した。同情の余地はない。女の嫉妬の醜さと何でも自分の思い通りにならないと気がすまない最悪の性格が、芹が現れたことで一気に爆発した。

「駿、あとは任せた」

「ああ」

 運転手と運転手が呼んだマンションの警備員も駆けつけて来たのであとは任せた。

 今まで気丈に振る舞っていた芹も、最後の花澤の形相に震えている。

 暁は、芹を抱き上げた。お姫様抱っこをされた芹は抵抗することなく大人しい。身体に力が入らないのだろう。顔色悪く引き攣った表情のままだ。

 その姿に暁の胸は痛む。芹のマンションでストーカーに遭遇したばかりで、今度は暁のストーカーに絡まれたのだ。もっと早くに花澤を処分しておくべきだった……。

 

< 121 / 253 >

この作品をシェア

pagetop