俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 エントランスには、騒ぎを聞いたコンシェルジュの姿があった。

「新城様、おかえりなさいませ。お怪我はありませんか?」

「ああ。申し訳ないが、エレベーターを開けてもらえないか?」

「はい。お送りいたします」

 両手が塞がっている暁を見て、エレベーターの操作は無理だと気づきフォローしてくれる。鍵は、コンシェルジュが管理しているものを用意していたのだろう。行き届いた気遣いが助かる。

 エレベーターの中で、暁と芹が降りるのを見送ったコンシェルジュは、そのまま戻っていった。

「芹、震えは少し収まっているようだが、大丈夫か?」

「う、うん……」

「怖い思いをさせてすまなかった」

「暁くんのせいじゃないよ」

「嫌な予感はしたんだ。ちょっと待ってて」

 芹をソファーに降ろし暁はどこかに向かった。窓の外に見える夜景を眺め、先程の花澤を思い出す。あまりの形相に本当に怖かった。

 暁を思う女性はまだまだいるだろう……。

 不安が込み上げてくる……。
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