俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 暁から、心配だから車で出勤しようと言われたがお断りした。

 さすがに昨日の今日で、何もないだろう。あの後彼女はどうなったのだろう。

 エントランスを通るとコンシェルジュから声が掛かった。

「おはようございます」

「おはようございます」芹も返す。

「昨夜は大丈夫でしたか?」

「はい。ご迷惑をお掛けしました」

「とんでもない。ご無事で何よりです」

「ありがとうございます」

「行ってらっしゃいませ」

 見送られ警戒をしつつマンションを出た。思わずキョロキョロしてしまう。特に視線も感じないし、怪しい人物もいないようだ。

 そして、出社して真実を知る。

 花澤は、昨日付で退職になっていた。そして、今は警察で捜査中だが、ストーカーの他にも、恐喝や詐欺まがいのことにも手を出していたらしい……。

 オフィスビル内で評判のよくない花澤の急な退職に様々な憶測が飛び交ったが、喜ぶものはいても悲しむものはいなかった。
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