俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 シンジョーテックでも、花澤の話題で持ちきりだった。被害に遭っていた女性達が喜んだのは言うまでもない。

 そして、オフィスビル一階の受付は、総入れ替えされることになった。今までの受付のメンバーは、地方に飛ばされる。

 昨日のように暁が現れることもなく平和な一日は仕事が捗る。芹は定時に仕事を終え、あっという間に会社を後にした。

 マンションに帰り暁の帰りを待つ。今日は、夕飯は外で食べようと言われたので、久しぶりに旬くんに没頭する。暁の仕事部屋で大きく映し出される旬くん。でも、前ほどにドキドキはしない……。

『芹奈、俺を焦らしてどうする?』

 今までなら身悶えていた言葉もあまり響かない。リアルで同じような言葉を言われているのだ。二次元では響くはずがない。恋愛初心者の芹には、なぜだかわからない。

「旬くんゴメンね」

 ひとり言を呟き、そっとゲームを終了した。

「芹、ここにいたのか」

 絶好のタイミングで帰ってきた暁に、思わず抱きつく。

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