俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「ああ?」

 不機嫌な声が電話の向こうから聞こえる。

「出勤時間を過ぎていますが?」

「はぁ〜休む」

「何言ってるんだ?今日も予定が詰まってる。三十分待つから降りて来い」

「はぁ〜休みたい……」

 今まで、休みがなくても文句一つ言わなかった暁が、休みたいほど芹に執着しているようだ。良くも悪くも紙一重な気がする……。

 きっちり三十分後、気怠げだが色気がダダ漏れの暁がやってきた。駿は何事かと驚く。

「何かあったのか?」

「ん?ああ、ストーカーは解決した」

「そ、そうか」

「引っ越しは予定通り頼む。これ」

 駿が手を出すと芹のマンションの鍵が落ちてきた。

「無理やりじゃないよな?」

「あ"あ"?」

「いや、確認だよ。同意の上ならいいんだ」

「週末お前が引っ越ししてくれてる間に、芹を実家に連れて行ってくる」

「えっ!?正気か?」

「おかしいか?」

「いや、親父さんもお袋さんも喜ぶよ。でも……」

「なんだ?」

「璃々ちゃんは大丈夫か?ブラコンだから……」

「あいつも大学生だしそろそろ兄離れが必要だろう?」

「まぁ……」

 駿の心配をよそに、事態は意外な展開をみせる。
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