俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 その中でも、一際高い真っ白な塀に囲まれた豪邸の前で暁が車を止めた。

「えっ!?」

「ん?」

「まさかここですか?」

「ああ」

 当たり前のように返された言葉だが、芹にとっては未知の世界に踏み入れる瞬間なのだ。

 防犯カメラで認識したのか、自動に開く門。車が中に入ると後ろで自動に閉まっていく。

 門からお屋敷までは少し小高くなっていて、お屋敷横が駐車場になっている。数台の車の横に迷うことなく止めた。

「着いたぞ」

「う、うん」バクバクする心臓。

 暁のエスコートで玄関まで辿り着いた。

「おかえりなさい」

 中からスラッとした女性が出てきた。

「ああ。芹、お袋」

「えっ!?」

「何驚いてる?」

「すみません。あまりにもお若く見えて」

「まぁまぁ。お世辞でも嬉しいわ〜」

 見た目のイメージと違いキャッキャしている。新城堂の元社長で現会長の奥様となると、勝手に和服を着た厳しい女性のイメージを持っていたが、目の前の暁の母親は、流行りのファッションに身を包み、明るく楽しそうな女性だ。
< 144 / 253 >

この作品をシェア

pagetop