俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「さあさあ入って」

「はい。お邪魔します」

「こっちよ〜」

 暁を置き去りにし、芹の手を引きグイグイと中に入っていく。玄関の広さも驚いたが、廊下も階段も何もかもがとにかく広い。家の中で迷子になりそうだ。

 案内されたリビングは、これまた驚くほど広く、大きな窓の外には広大なお庭が広がっている。

 お庭が見えるように並べられたソファー。そして、グランドピアノが部屋の真ん中に置かれているが全く圧迫感を感じさせない。

「いらっしゃい」

 リビングのソファーから立ち上がり出迎えてくれたのは、暁によく似たお父様。お似合いの夫婦だ。

「はじめまして。成宮芹と申します」

「そんなに固くならないで。芹さんとお呼びしてもいいかしら?」

「はい」

「私達は芹さんに感謝してるのよ」

「はあ……」

「芹さんに出会わなければ一生独身で、孫さえも見せてもらえなかったわ」

「璃々がいるじゃないか」

「そんな問題じゃないの。あなたは一応長男なのよ」

「一応って……」

 俺様と言われる暁がタジタジだ。貴重なものを見た気がする。
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