俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「おい!璃々!何してやがる」

 もちろん、相手が妹とはいえ黙ってはいられない。

「兄さんこそ、芹奈様の何?邪魔しないで」

「はぁ〜??」

 ピキッと音がしそうなほどの怒りの声が上がる。

「芹奈様〜大好き〜」涙声で頬ずりする。

 我慢の限界に達した暁が、芹から璃々をベリッと音がしそうなくらいの勢いで剥がす。そのまま、腕の中に隠す。

「ちょっと〜何するのよ〜」

「はあ?お前が俺の芹に抱きつくからだろ?」

「俺の芹〜!?何言ってるの?バカじゃない?みんなの芹奈様よ」

 芹は、暁の腕の中で訳がわからない。ブラコンだと聞いていて、妹さんに会うのも緊張だった。

 それが今、目の前では兄妹ゲンカが勃発しているではないか……。

 両親も、兄妹ゲンカに訳がわからないようで、困惑している。

 だが、やはり母は強し。

「あなた達、みっともないからやめなさい」

 母の一喝に兄妹の動きが止まった。その間に、暁は腕の中の芹の手を取りソファに戻る。

 璃々は、暁とは反対の芹の隣に座った。兄妹の間に挟まれた芹。微妙な空気が流れる……。
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