俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 特に店頭に和菓子王子がいると、買うまでにかなり時間を要する。芹の実家に遅れるわけには行かない。

 和菓子を受け取りに行くと、和菓子屋とは思えない行列が出来ていた。

「和菓子屋さんだよね?」

「ああ、凄い行列だろう?」

「若い子が多いね。和菓子を並んで買いに来るイメージはないけど」

「長谷屋の和菓子は写真映えすると有名なんだ。しかも大半は王子目当てだな」

「王子!?」

「芹は和菓子王子って聞いたことないか?」

「なんとなく……。でも実際に見たことはないよ」

「若旦那は、実力もさることながら、イケメンで大人気なんだよ」

「ヘェ〜。知らなかった……。王子かぁ」

 二次元で王子はよく見るが、リアル王子が存在するなんて。

 暁は、列を横目に入口に向かった。もちろん芹の腰を抱いて歩いている。かなり目立つカップルだ。

「すみません。予約していた新城です」入口に立つスタッフに声を掛けた。

「新城様。いつもありがとうございます。お待ちしておりました」スタッフがインカムで何か伝えている。
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