俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「ただい」「きゃ〜」

 芹が言い切る前に母が絶叫した。 

 『ドタドタドタ』『ガチャッ』

 母の絶叫が聞こえた父が廊下を走って来る音と、隣の兄の家の玄関が開く音が響いた。

「どうした!?」「何事だ!?」

 父と兄の声が響く。

「れ、れ、廉くんが、リアル廉くんが〜」

「「はあ?」」「「……」」

 父と兄は訳がわかっていない。芹と暁は、理由はわかっている。だが思った以上の反応だ。

「きゃ〜廉くん」

 語尾が上がりハートが飛びまくりの母。

「んんっ。芹、どういうことだ?」

 兄が苛立ちながら聞いてくる。

「ん〜っと……。取りあえず家に入らない?」

 母の絶叫に、ご近所の家からも見られている。

「そうだな」

「廉くんどうぞ」

 まだ本名すら名乗らせてもらえてない暁は、呆然としたままついて行くしかない。

「お邪魔します」

 一気にご対面からの微妙な空気が流れる。芹の父と兄からは怪訝な表情を向けられ、いたたまれない……。



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