俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 案内されたリビングは、木の温もりを感じるナチュラルな部屋で、芹のイメージにぴったりだ。

「どうぞ〜ソファに座ってね」

「ありがとうございます。あの、これ」

「まあまあ。何かしら」

 長谷屋の紙袋は外側がシンプルで、紙袋の内側に模様が施されている。受け取り中を見た瞬間、またまた絶叫が響く。

「きゃ〜、和菓子王子〜」

「「……」」呆れた父と兄の目線は冷たい。

「お母さん知ってるの?」

「えっ?まさか芹知らないの?」

「うん。知らなかった……。初めてお会いしたよ」

「ええっ?会ったの?和菓子王子に?」

「えっ?う、うん……」

「ズルイ〜芹だけ〜」口を尖らせる母。

「ブックククククッ」

 芹の母に会った瞬間から笑いを堪えていた暁の限界が来た。

「暁くん、お母さん煩いでしょ?」

「いやっ。意外すぎて。うちの母親も賑やかな方だと思っていたが。ププッ」

「廉くんが笑ってる……」

 母はまだ二次元にいるようだ。

「そろそろ落ち着こうじゃないか」

 父の言葉でやっと落ち着きを取り戻した。
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