俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 定時に退社し、いつも通りロッカーで着替えて急ぎ足でオフィスビルを出る。

 受付の顔ぶれは変わり、駿が口を出したのか以前とは比べものにならない完璧な人材が揃っていて評判が良い。

 絡まれることもなく、平和な毎日を過ごしている。

 シンジョーテックでも、皆がオフィスビル内の社員食堂に行きやすくなったというくらい花澤達は酷かったのだろう……。芹は、基本社内からは出ないので、食堂の様子はわからない。

 マンションに帰り、手際よく夕食の準備を済ませると、暁の仕事部屋か芹の部屋に籠もる。

 暁が帰ってくるまでの間に、趣味に没頭できるのだ。ただ、暁と付き合うようになって『ハピカレ』は止めてしまった。どれだけ二次元の旬くんを見ても、キュンとしない。それどころか時間の無駄に思えてしまった。

 最初は芹自身、自分の中の変化に戸惑ったが、暁と一緒に生活をして常にドキドキキュンキュンするのだ。

 リアルでしかわからない、お風呂上がりの色気や寝起きの気怠げな様子にまで反応する芹には、もう二次元じゃ物足りない。
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