俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 芹はスマホを手にどこに連絡するべきか悩む。もうすぐ時計の針は21時になろうとしている。

 シンジョーテックは、今日は開発中の急ぎの案件がなかった。すでにみんな帰った後だろう……。

 暁は、いつも早くても21時は過ぎる。まだ会社だろうか?

 意を決して、暁の電話に掛けてみる。

 芹から掛けることは珍しい。普段から仕事中に用事があれば、メッセージを送るようにしているのだ。

 『トゥルルル、トゥルルル……』

 五コール程鳴らしたが出ない。切ろうかと画面をタップする瞬間だった。

「もしもし」

「あっ、お疲れ様です。成宮です」

「お疲れ様です。すみません。暁は今、来客中でして……。何か急ぎですかね」

「急ぎというか……」

「はい」

「来月発売のソフトありますよね?」

「はい。第三弾ですよね?」

「それです。それなんですが……」

「はい……」言い淀む芹に駿は嫌な予感がしてきた。

「通常の家庭サイズの画面でプレイすると問題はないのですが、大画面でプレイすると後半で、ほんの少しですが画面の端にバグが……」
 
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