俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「芹に何かあったのか?」

「いや、成宮さんじゃなく、新城堂の危機だ」

「はあ?どういうことだ?」

「暁がデスクに置いて行ったスマホが鳴っていたから、見たら成宮さんだった。珍しいから何かあったのかと思って出たんだ」

「ああ」

「例のソフトにバグがあると……」

「はあ!?」

「とにかく、暁の部屋に行って確認するぞ」

「ああ。急ごう」

 片付けもせず戸締まりだけして急ぐ。地下に下りると車が待っていた。動転していたとはいえ、車は必要だ。駿が、いつでも乗れるように、暁が戻って来る前に手配していた。

 車が信号で止まるのももどかしい……。

 車内では、暁のピリピリとした空気が漂っている。

 車がマンションのエントランスに着き、ふたりは飛び出すように車からおり、エントランスを走り抜ける。

 コンシェルジュから挨拶されるが、返す余裕もない。エレベーターまで突っ走る。

 エレベーターが一階に到着するまでの時間ももどかしい。
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