俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「新城堂の社長自らお出ましとは状況はよくないんだな」

 長年の経験から、何もかもお見通しだ。取り繕ってもしょうがない。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 暁と駿は、言い訳もせずとにかく頭を下げる。

「ここで頭を下げられてもな。とにかく中に入れ」

「はい。お邪魔します」

 工場内の応接室に案内された。田舎の工場は年季が入っているが、綺麗にされている。

「で?どうなんだ?」

「三日で何とかと思っています」

「三日……。お前達にとっての三日と、儂らが製造するギリギリの期限の三日は全然違うんだぞ?儂らが三日待ってくれと言っても承知してもらえないだろ?」

 確かに、商品が三日遅れると、発売日に間に合わない。開発とは違って、実際に商品を製造する工場には、一分一秒を無駄に出来ないのも理解できる。

「今回は、完全にこちらのミスです。だが、新城堂として、発売日を変更する選択肢は今のところありません。世界中で待っている人がいるんです」

「本当に三日だな?三日後の昼には何とかしてくれ。さすがに、午後から製造に入らないと」

「わかりました」
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