俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 ところが……。

 三日後、あと少しの所までは来ているが、完成には至っていない……。

 みんな、徹夜続きで疲れがみえるが、何とか気力を振り絞って作業を続けていた。

 この日の午後から製造に入りたいと言っていた香田社長への連絡は、あと少しで完成しそうだと、粘っていたら夕方になっていた。
 
 駿が慌てて工場に連絡を入れた。

「新城堂の稗田と申しますが、香田社長はいらっしゃいますか?」

「香田でしたら、午後から外出しております」

「そうですか……。戻られたら新城堂の稗田まで連絡をいただけますか?」

「伝えておきます」

 香田社長は捕まらず、謝罪は持ち越しになった。

 その頃エントランスでは……。

 受付の前には年配の男性がいた。

「新城社長に会いに来た。案内してくれ」

「新城とアポはございますか?」

「いや。香田と言ってもらえたらわかるはずだ」

「アポがなければ……」

 問題があった受付が総入れ替えになってから、初めて訪れたオフィスビル。もちろん香田社長と面識のある者はいない。

 暁をはじめ今回のメンバーもまさか香田社長が来るとは考えもしていなかった。

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