俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

「香田源三だ」

　源ちゃんが答えた声が聞こえたのか、電話の向こうでは、ガタガタガッシャンと慌てているのか、凄まじい音が聞こえる。

「暁くん？聞こえてた？香田さんだって」

「あ、ああ。芹、落ち着いてよく聞いてくれ」

「う、うん。暁くんが落ち着いた方がいいんじゃない？」

「そうだな……。今から稗田を連れてエントランスに向かうから、芹は香田社長と一緒に居てくれ」

「社長？」

「詳しいことはあとで話す」

「わかった」

　ここで通話が切れた。芹はあまり状況が理解出来ていないが、待つしかない。

「芹奈ちゃんは、新城のボンと知り合いか？」

「えっ？まあ……」

　暁の慌て具合から、どこまで話をしていいのかわからない。

「そういえば芹奈ちゃんは、何でここにいるんだ？」

「私？私は、新城堂の子会社のシンジョーテックで働いてるの」

　世間話に花を咲かせていると、人目も気にせず走って来る暁と駿の姿。エントランスに居合わせた者は驚き見ている。