俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「俺が真剣に心配してるのに、笑うなんて……」

「恋は盲目と言うが、初恋だと余計に厄介だな」

「はあ?」

「成宮さんは、事故にも遭ってないし、家出でもない。安心しろ」

「なんでお前がわかるんだ?」

「お前、時間を見てみろよ」

「時間?」

「そろそろ帰る頃じゃないか?」

 駿の言葉と同時くらいにエレベーターが到着した。

「わぁっ」

 エレベーターの前でスマホ片手に佇む暁を見て驚く。芹より先に帰ってきたことが今までないのだから当然だ。

「芹〜」

 スマホの存在を忘れ芹に抱きつく。電話の向こうで駿はため息をつく。

 俺様御曹司はどこにいった。まさか、こんなに独占欲を全面に出し、夢中になるとは……。

 新城堂では、暁が女神を見つけたと噂が大きくなってきている。しかも、今まで女性に冷たく興味がないと思っていた暁の初めての女性の話題に、何を勘違いしたのかうちの娘はどうかと連絡してくる他社の社長が現れた。噂は思った以上に広がっているようだ。

 電話の向こうでは「チュッ」とキスをしているだろう音が聞こえる。駿は呆れて通話を切った。
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