俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 更に厄介なのが、勘違い社長とご令嬢達だ。

 アポの内容はもちろん仕事の話なのだが、なぜか来社されると社長は普段から連れている秘書ではなく、取ってつけたようにお飾り秘書を連れてくる。

 今回も受付から案内されて、最上階の応接室までやって来た社長は、化粧が完璧なスーツではなくワンピースを着た自称秘書の娘の姿。

「いらっしゃいませ」駿は内心溜息だ。

「……」暁は、最早挨拶すらしない。

「やあやあ、先日発売されたソフトも好調なようで何よりだ」

「ありがとうございます」

「すっごく面白くて、ハマっちゃいました〜」

 突然話に入ってくる娘。いや秘書……。

「それはお買い上げありがとうございます」

 ソファーに深く座るふたり。普通は秘書は社長と並んでは座らないだろう。完全に娘でお客様になっている。

「で?今日はなんだ?」

 暁が初めて発した言葉は冷たい。だが、空気の読めない娘は気にすることなく続ける。

「あの〜」上目遣いがあざとい。
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