俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「……」

「暁さんは〜」

 語尾を伸ばし、下の名前で馴れ馴れしく呼んでくる。

「チッ」

 暁が舌打ちしたことで、その場が一気に固まる。

「神崎社長、仕事の話だと聞いて、忙しい中アポをお受けしたんです。ですが、お飾り秘書を連れられて何のご用でしょうか?」

「お飾り〜?パパ、この人失礼」

「お飾りは言いすぎなんじゃないか?」

「神崎社長のところは、弊社の社長を下の名前で馴れ馴れしく呼ぶ秘書を雇われる会社という認識でよろしいんですね」

「い、いや」しどろもどろになる。

「しかも、仕事の話じゃないようですし」

「なんで決めつけるのよ!」

「真美止めなさい」

 さすがに今の状況では、今後の仕事に差し支えると悟ったようだが遅かった。

「なんで?私が付き合ってあげるって言いに来たんじゃない。断る男なんているはずないわ」

「「……」」

 あまりの発言に絶句する。

「真美は可愛いよ。誰よりも可愛い。だが、今日のところは失礼しよう」

「連絡先交換しなかったら、会えないじゃない。パパったら」

 相当お目出度い思考回路のようだ。
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