俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「芹は通らなかった」

「そんな事はないでしょう?もう、ほとんどの社員は退社してますよ」

「俺はここでずっと見ていた」

「見逃したんでしょう……」

「いや、残業をしてるんじゃないか?」

 そんな会話をしていると「もう帰りましたよ」と声が掛かった。

「はあ?」「名取さん…」

「だから、帰りました。稗田さんに連絡をもらってすぐに、成宮さんの部署に行ってみたんですが、すでに成宮の姿はありませんでした。定時と同時に、完璧に仕事を終わらせて帰って行ったようです」

「……。俺はずっとここで見てたんだ。見逃すはずはない」

「そう言っても、もう社内にはいないんですから、今日は諦めましょう」

「……」

 納得のいかない暁を連れ、社長室に戻る。

「なんでだ?うちは他に出入り出来るところがあるのか?」

「何年ここで働いてる。社員が通常出入りできるのは、一階エントランスだけだ。地下は車か特別な理由がないと出入り出来ない」

「だよな」

 首を傾げる暁だった……。


 
< 22 / 253 >

この作品をシェア

pagetop