俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「芹、芹。着いた」

「えっ!」

 寝ぼけ眼で辺りを見回すが、長年住んでいた見慣れた実家の前にいることに驚く。

「???」

 寝起きの鈍った意識の中で、なぜここにいるのか考えるが全くわからない。

「降りよう」

「なんで実家?」

「ご両親に結婚のお許しをもらうために来たんだ」

「えっ早っ」思わず声が出てしまう。

 ここで、ニヤリと俺様御曹司様が登場する。

「何事も、迅速かつ完璧にしないとな。行くぞ」

「はい」

 母は大喜びしそうだが、父と兄は……。兄が留守だといいのにと思ってしまう。

 『ピンポン』と鳴らした瞬間待っていたように玄関が開いた。

「待ってたわよ。いらっしゃ〜い」

 テンション高く母が現れた。

 そこで芹は、ん?と思う。待っていた?知ってた??

「芹、どしたの?」

「えっ、私達が来るの知ってたの?」

「知ってたわよ。昨日剛から聞いたから」

 芹は、そ〜っと隣にいる暁に視線を移した。視線に気づいて、ニヤリと笑ったのがわかる。完全に暁の手のひらで転がされているが、嫌じゃない自分がいる。
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