俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 夕方、打ち合わせから戻った駿がスイートルームにやってきた。

「ただいま戻りました」

「お疲れ様です」

「無事終わったか?」

「まあ、無事というか大変なことになりそうだ……」

 駿は、仕事からプライベートモードになる。顔には疲れが滲む。

「芹人気か?」

「支社長もイベント責任者も、芹奈ちゃんと言ってたよ」

「はあ?そんなにか?」

「フランスでは、幅広い世代で人気だ。暁の婚約者として発表したいと言ったら、イベントの最後にしてくれって」

「発表自体は問題ないんだな」

「成宮さんのお陰で、発売の宣伝効果は更に上がりそうだ。入場券はすでに売り切れているんだが、空港に現れたことがもう話題になっていて、問い合わせが相次いでいるようなんだ」

「ご迷惑掛けてないですか?」

「迷惑だなんて。きっと新城堂史上、最大の売上になるかもしれません」

「芹、くれぐれも明日は一人にならないでくれ」

「うん」

 この後、夕食に三人で出掛けたが、オフィススタイルの芹はバレずに済んだ。ただ、周りを楽しむ気分ではなく、少し街並みを見た程度で、早々にホテルに戻った。

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