俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 近くを通っていたスタッフ達も、何事かと思う。そして、気づいたスタッフ達もざわつき出す。

「騒ぎになりますから、控室に案内いただけますか?」

 駿が冷静に声を掛け、芹は眼鏡を掛け直した。

「す、すみません」

 新城堂のフランス支社長で、新城堂でもかなりの上の地位に当たるが、暁と芹に平謝りだ。

「ご案内します」

 控室に到着し、やっと一息つく。スタッフ達には、眼鏡姿の芹が芹奈だと気づかれずに済んだ。

 イベントが終わり、フランスを出るまで気を抜けそうにない。

 無事に帰国できるのだろうか……。

 準備をする三人を残し、支社長達は名残惜しそうに退出していった。

「あまり時間もないですし、準備しましょうか」

 控室は、社長のために用意されただけあって、広々とした部屋で、ソファーもあり寛げる。パーテーションで仕切られた着替えの出来るスペースもある。

「暁くんと稗田さん、先に着替えてもらえますか?私、ヘアメイクをしたいので」

「ああ」「わかりました」
< 247 / 253 >

この作品をシェア

pagetop