俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 『コンコン』

「はい」

「準備はいかがでしょうか?」

「出来ています」

 返事を聞いて、イベント責任者が控室に入ってくる。そして、目は芹を捉えている。

「せ、せ、芹奈ちゃんだぁ」

 感動しているのか、声が震えている。

「あまり見るな」

 暁の嫉妬丸出しからの、芹の前に立ちはだかる。

「生の芹奈ちゃんが見れた……。夢のようだ……」

 ブツブツと呟きながら自分の世界に浸ってしまっている。

「時間は大丈夫ですか?」

「あっ、会場入りお願いします」

 そこから、会場に行くまでも大変だった。興奮したスタッフに囲まれ、なかなか進めない。涙する者まで……。

 暁ですら嫉妬を通り越し、もうどう反応していいのかすらわからないほどの、盛り上がりだった。

 まだイベントが始まっていない。イベントを盛り上げるはずのスタッフ達の盛り上がり。

 先が思いやられると同時に、自分がとんでもない相手と出会ったんだと、暁は実感する。

 どんなことがあろうと、絶対手放さない。強い意志を持って、突き進む。
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