俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
攻防戦
 翌日からも、退社時間になるとエントランスには暁が姿を現す。

 同じビルで働くが、子会社で働く芹に暁が直接仕事で接する機会はない。従って呼び出す理由もない。社長という立場を利用することは、暁のプライドが許さない。

 駿や名取からは呆れられるが、諦める気はないのだ。自分の手で捕まえると意気込んでいる。

 数日経つと、退社する社員も慣れてくる。暁を気にすることなく通り過ぎる。

「暁、気は済んだか?」

 秘書としては、社長の奇行を何とか止めさせたい。名取に頼んで、芹がオフィスを出たタイミングで連絡をもらっている。だが、なぜかエントランスには現れないのだ。

「なぜ通らない。いや見逃してるのか?」

「きっと見逃してるんでしょうね……」

「俺は芹の姿を鮮明に覚えている」

「そう言われましても……」

「何とかならないか?」

「なりません!」

「次の手を考えるか……」




 
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